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ペットを飼うことと社会との関わりについて考える

昨日出席したセミナーで手にした日本心理学会の学会誌「心理学ワールド55」の中に、「小特集 動物との触れ合いと私たちの心と生活」というテーマで四つの論文掲載があり、その中の一つがとても考えさせられる興味深いものであったので紹介したいと思います。

日本人とペット:その関係性と心理的効果
北海道武蔵女子短期大学教養学科准教授  金児 恵


内容をざっくり拾っていきます。

欧米の先行研究の多くは、ペットとの関係性(「絆」「愛着」「親密性」とも表現される)が強い飼い主ほど主観的幸福感が高いことを見出して
いるそうなのですが、日本において同様の尺度回答の調査をおこなったところ(首都圏、無作為抽出、40歳以上の男女1250名に郵送調査、回収率53.0%、犬または猫の飼い主は152人、用いた尺度は「友人の多くに対してより、ペットに親しみを感じる」「ペットは私の気持ちがわかる」「ペットによく話しかける」などの計7項目)
この尺度得点と飼い主の幸福感の関連を検討した結果、驚くべき結果が得られました。欧米の知見とは正反対に、ペットとの関係性が強いほど幸福感が低いという負の相関がみられたのです
その要因を飼い主へのインタビューなどで探ってみたところ、
「犬をおいて旅行に行くのは可哀想」「この子(犬)がいるから買い物にもあまりいけなくなった」「家に人を呼ばなくなった」というように、社会とのかかわりが減少している飼い主が少なくないことがわかりました。獣医師の井本忠夫氏も、ペットとの関係性について「子供あるいはそれ以上の存在と思い」「いつも、一緒に寝て」「外出していても、いつも、気になり」などの特徴をもつ飼い主を「ペットに依存している人」とし、その問題点を指摘しています
それらの再考をもとにして「ペットへの愛着尺度」を作成し調査したところ、2つのタイプの関係性が抽出されたそうです。
ペットを愛で、安らぎを得ると同時に、飼育に対する責任をもつ関係(基本的愛着)と、ペットへの密着度が高く過度に情緒的絆や安定を求める関係(依存的愛着)との二つです。そしてそのうち、依存的愛着だけが幸福感と負の相関をもっていました。つまり、飼い主のなかでも、ペットと過度に密着する傾向のある人ほど幸福感が低かったわけです。
この指摘に私は驚愕しました・・・・。
依存と自律というテーマは子育てにも本当に切実なテーマなわけですが、それがそのまんまペットと飼い主の関係性においても表出しているとは・・・・。
しかも「愛着障害」と同様の問題を含んでいるようにも思えました。
では、なぜ依存的愛着は幸福感を減少させるのでしょうか。筆者の研究ではさらに、依存的愛着が高い人ほど「ペットはまだ社会的に受け入れられていない」と感じており、それが低い幸福感につながっていることや、依存的愛着が高い人ほどペットに対する躾が甘く、特に非飼い主からの否定的反応を招きやすいという結果が得られています。つまり、依存的愛着の高い人は、周囲との対人関係にトラブルが発生しやすいがゆえに、結果として幸福感が下がる可能性です。
この辺の指摘には、多頭崩壊を起こす孤立した飼い主の心理的背景にも重複する気がしました・・・・。
日本においてペットを通じて人の幸福感を向上させるためには、ペットと飼い主の二者間で閉じた関係をもつのではなく、むしろペットを社会の一員と認識し、周囲の人々との関係を広げ、円滑にすることを助けるような飼い方を心掛けたほうがよいことが示唆されます。
この指摘には、地域猫活動が応えることが出来る可能性を見出しました。
自分の家の中のペットのことばかりではなく、家の外に暮らす猫たちに対しても基本的愛着を持てることが(依存的愛着ではなく!ここ重要)、社会全体の人々の幸福感を向上させる可能性があることを感じました。これはすごい観点だと思います。
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